新米 ゆっこの池田収穫記

「池田の郷(さと)土と水を守る会」に参加する各団体の活動をご紹介します。

 

H23年産米「生命に優しい米づくり」審査会

H23年度米「生命に優しい米づくり」審査会
・H23.8月28日(日) 9時~14時
・能楽の里文化交流会館2F

 

朝・夕が大分涼しくなり、秋のおとずれを感じるこの時期…

稲の穂も黄金色に実り、

いよいよ…

やってきました、収穫シーズン!!

最終審査会!!
この審査会の概要をレポートします。

池田町が町ぐるみで取り組む「生命に優しい米づくり」について、
今年の取り組みを総括し、生産者の栽培記録や現地審査等が適切になされてきたか
を確認しました。また、最終の現地審査が行われました。
審査員の方々は次の5名。
審査委員長… 吉岡 俊人 《福井県立大学生物資源学部 教授》
審査委員…  仲谷 傅次 《福井県農林水産部農林水産振興課 食料安全推進室長》
審査委員…  山本  仁  《福井県丹南農林総合事務所農業経営支援部 部長》
審査委員…  前野 正博 《福井県丹南農林総合事務所農村整備部 保全課長》
審査委員…  赤井 賢成 《環境省希少野生植物種保存推進員》

先ず、スライドで本年度の生産状況やこれまでの3回の審査経過について
説明がありました。
★審査経過★
池田町の特裁米には4つのランクが設けられています。

極・匠・真はたい肥による土づくり。舞はたい肥にこだわらない土づくりとなっています。
農薬や化学肥料にできるだけ頼らずに米作りを行うためには、経験と日々の管理がとても大切です。
残念ながら次のような場合、不合格となります。

減農薬での米作りは畦畔の雑草との戦いでもあります。

スライドを見るだけでも、池田町の米づくりのこだわりが伺えます。
ですが、H18年から始めたこの特裁も認証される面積・人が年々増えているのです。
当初は、4種の田を合計して91.1ha・70名でしたが、去年は、214.2ha・240名にまで拡大しています。

★審査内容★
①土づくり資材…基準どおりに使われたか
②H22履歴…前年の作付区分
③表示看板の有無…ほ場に作付区分の看板が立っているか
④水田内雑草管理…水田内の雑草が適正に除草されているか
⑤畦畔雑草管理…畦畔の草刈が3回以上実施されているか
⑥病害虫…病害虫の発生状況
⑦水管理…水管理が適正にされていたか
⑧生育状況…生育状況はどうであるか
⑨栽培記録簿の提出…栽培記録簿が提出され適正に記入されているか
⑩使用除草剤の種類…使用された除草剤の種類は指定されたものか

以上の内容を田んぼ一枚一枚厳しくチェックしました。
ちなみに、田んぼの枚数は約1,800枚。
相当なご苦労が伺えます。


審査員による本田審査

次は、審査委員が無作為に田んぼを抽出し、その田んぼに実際に出向いて審査しました。
そこでも、事務局が作成した事前審査結果等についてその内容を審査しました。

次は、極づくりの田んぼに出向きました。上荒谷集落。


Tさんの田んぼ

無農薬・無化学肥料の為、穂の部分が少し短いです。
しかし、農業を始めて今年で3年目の「若い生産者」が作った田んぼ。
「立派ですね~」との賛辞が!

次に、匠づくりの田んぼです。

こちらの田んぼは、ほぼ雑草が見られません。
田植え同時に除草剤を投入するのではなく、
田んぼの水温が上がってきた頃にいれたからだそうです。
このまま順調にいけば、たくさん収穫できるでしょう!

真と舞も順調に育っていました!

登場!クロップナビ!

これが噂の…田んぼの救世主。
何やら機能が本当にすごいです!
気温・湿度・水温・葉っぱのぬれ具合などを感知して
いもち病発生を予測します。町内に4台設置されています。
さらには!
いもち病の発生を携帯にもメールで知らせてくれます。
今年も6月・7月と大活躍しました!
いもち病の被害も少なかったです。

匠づくりの田んぼで生きもの調査

今回、一般公募8名の消費者の方も一緒に田んぼの畦畔を歩き、生きもの調査を行いました。
田んぼの中をわいわいと声をあげながら歩くと、いろんな生きものがみつかります。
「昔、田んぼにいたイナゴよ~食べたわぁ~」
「コナギってサラダにするとおいしいんやで」
「ここにもカエルいたよ~!」

そして、結果発表~
・カエル…6匹  ・トンボ…33匹  ・タニシ…26匹
・クモの巣…2  ・ツバメの数…0  ・水田植物…21種類

夏の終わり、昼前の時間帯でしたが、多くの生きものがみつかりました。

時期の関係上、見つからない生きものもいますが、
これらの生きものの数が均等になるほど、田んぼの
生物多様性が守られているということです。


夏の思い出できましたやったね!

池田づくしの池田ランチ!

そして、待ちに待ったお昼タ~イム
池田町の匠と県内産米のおにぎりを食べ比べです!他にも、美味しそうなお惣菜がたっくさん!

お米マイスターになった気分でパクパク
「やっぱり味が違うな!」 「噛み締めるとはっきり分かるな!」
「お野菜も池田のは美味しいんですよ~」
などのお声がチラホラ。
何の味付けもしていないおにぎりがこんなに甘くておいしいなんて!

こちらは、池田産の素材・ほんものの調味料を使ったお漬物。
おにぎりも、お惣菜も素材の味が感じられる幸せなお料理でした
都会の人達にもぜひぜひ食べてみてほしいな~と思いました。
お腹も満たされ、本日最後の行程となる審査員による
審査&講評の時間となりました。

審査員の真剣な審査の様子…
審査が終わり、審査委員長の吉岡教授より総合的な講評が述べられました。

講評

①全筆(1800筆)調査に対する審査
→台帳の記載方法、評価項目いずれも適切で、評価自体についても適切に行われていた
②提出された書類審査への評価
→きちんとトレーサビリティ(実際に生産者の方が取り組んだ内容)が分かるようになっている
③現地調査による書類との整合性の審査
→極・匠・誠 いずれも事前調査の内容に合っていて問題なし
④直播について
池田町における直播のシステムの指導、技術的な確立が今後の課題。今後早い段階で生命に優しい米作りの営農指導の中に組み込んでいく必要がある
⑤田んぼの生きものについて
田んぼの生きものの「多さ」についての評価ならびに診断システムの構築が課題。何らかの形で審査項目に反映できないか。
さらに生態系を保つために、町全体で生きものの大切さを前面に出した取り組みをしているので、中干し、稲刈り期に田んぼの脇に水が保てる場所、生物が一時避難できるような場所を作る事は出来ないかを是非考えていただきたい。

審査員一人ひとりからも講評をいただきました。
●審査員 前野さん
雑草管理をはじめ、高度な判断とかなりの手間暇をかけていらっしゃる事が分かる現地調査だった。
色づき始めた稲穂の上を赤とんぼが飛び回るような、池田町では当たり前の風景を守る事が、生命に優しい米作りに期待されている事なんだと感じた。
生きものは、「苦しい」とか「痛い」とか言わずに知らないうちに我々の目の前から姿を消してしまう。この風景と共に、安心安全を消費者に届けて欲しい。観光ポスターにもある「あたりまえがふつうにある町」を住民の方がもっと感じていただいて、ステップアップしていって欲しい。

●審査員 山本さん
農業は昔から、自然と雑草との戦い。農業はある意味では自然を壊しているし、ある意味では守っている。
だけど、人間が手を入れないと守れない自然もある。農業を持続して行く事が大切。川上(水源)に住む人間として、水を守り、環境負荷を減らすという池田町の取り組みは今後ますます大きな意味を持つ。

●審査委員長 吉岡さん
農薬を「きちんと使う」事が大切。農薬成分数「4成分」は、福井県内をはじめ全国的に見ても非常に少ない成分である。環境毒性等についてもよく勉強して、安全で効果的なタイミングなどを考えて適切に使って欲しい。

●審査員 仲谷さん
栽培記録の項目「食べものを生産しているという意識を持って作っているか」にチェックしていない農家が見られた。
生産側の思いは全て栽培管理に出ている。安全な食料をどう消費者に届けるか。
農業生産工程管理(環境保全、食の安全、農作業安全の3つ)を農家の皆さんが実践して、審査員が審査し評価し、それを消費者に伝える。
そうすれば池田米のブランドが一層高まる。

●審査員 赤井さん
過去5年間で特栽面積は2倍以上、関わる人の数が3倍に増えた事に生産者や関係者の努力に敬意を表します。
生きもの調査について難しさを痛感した。どういう風に今後評価基準に加えていくか。分かりやすいところから始めたい。
堆肥が不足している件について。特栽が進むほど将来的に堆肥の取り合いになる事が予測される。一方で池田の約9割が森林(有機物の宝庫)。そこから優れた水質の豊かな水が供給されている。田んぼを単独で考えるのではなく、周りの山と田んぼをどうつないでいくか。有機物の供給源として、また、水質と水量をいかに高い状態で維持するか、トータルで地域の生態系の中の農業を目指していって欲しい。

審査結果は、申請面積合計で215.2haでしたが、不合格や計画変更で
205.3haが合格となりました。

こうして、H23年度の審査会は幕を閉じました。
安心・安全で美味しいお米を消費者へ。
どの生産者の方もこう思っているはずです。
それを町全体でやってしまうところが池田町のすごいところだと
改めて思いました。
もちろん、お米だけでなく、生きものや自然環境の保全も同時に考えている。
こんなに地球に優しい町って他にあるのかなって思ってしまいました。
「池田町のお米ってすごいおいしいんだよ!知ってる?」
ものすごく単純なんですが、この言葉をいっぱいの人に知ってほしいな。
少しは池田通になれたでしょうか?
福井市在住・新米ゆっこのレポートでした。

池田の豊かないきもの達

2011年6月11日(土)9時30分~ 参加人数約20人
場所 JAライスセンター前

今年第1回目となる「いきもの調査」
春~初夏の畦に生える草花を知り、池田の農業や環境向上に役立てる事を目的としています。
地域の方達にもたくさんご参加いただき、お馴染みの赤井先生に教えていただきました。
普段は気にとめない雑草もちょっと立ち止まって見るとおもしろい発見がいっぱいですよ~★
それでは、盛りだくさんでご紹介していきます!



【目立ってきた外来種】

しばらく、てくてく、ぞろぞろ歩いていくと…
道路わきに生えていたこちらの植物に注目!

キショウブ[黄菖蒲] (外来種)

フランスキク (外来種)
白くてきれいなお花ですねぇ~。みなさんもよく目にした事があるのでは?
ですが、見た目に寄らず、結構困ったやつなんです。
キショウブとフランスキクは外来種の中でも繁殖力が強くて、
このまま放っておくと池田町が白と黄色になるかも!
特定の種類の植物、特に外来種ばかり殖えてしまうと
他の植物が生きられなくなり、生態系のバランスが崩れてしまいます。
「きれいだから、刈るのかわいそうで~」なんて声もチラホラ。
みなさん、きれいなお花だからといって採るのをためらってはいけません!
ぜひ、殖えないようにして下さい。


カキツバタ(写真上)とアヤメ(写真下)の違いは、葉の幅に着目。
葉の幅1cm以上あればカキツバタ(アヤメは1cm以下)。
キショウブと違って、カキツバタやアヤメは今のところ、殖えていないようです。


コナスビ (在来種)
この植物、実の形が何かに似ていませんか?
よ~く見てください。ちょっとトマトに似てません?
もう少し育つとナスビの形に似てきます。
名前といい形といいナス科の植物?
いえいえ、サクラソウ科(現在はヤブコウジ科に改変)の仲間です。
なんだかこんがらがりそうな気がしますね。
コナスビは明るい場所が好きでまめに草刈りをしている畦畔によく生えています。

【是非 自慢して下さい!】

ミミナグサ (在来種)
こちらはナデシコ科の仲間です。
池田町では普通に見かけますが、福井市内などで探す事は困難な状況なんです!
なぜかといいますと、外来種の「オランダミミナグサ」が日本に来てから、
その繁殖力の強さに負けてしまうからです。
池田町に普通に生えている事は、外来種も少なく、池田町に良い自然が
残っていることを示す証拠です。
赤井先生も「ぜひ、自慢してください!」と言っていました!

【悪いのは人間!!】

オニウシノケグサ (外来種)
「ウシノケ」という牛の毛に似た水田に生える植物があり、
これはそれよりももっといかついので「オニ」がプラスされるそうです。
植物やいきものの名前ってその容姿にちなんでいたりするから知るとおもしろいですね。
そんな、オニウシノケグサはちょっと悪さしています。
元々は、道路の法面の緑化と牧草として外国から入ってきましたが
繁殖力が強く他の植物を負かしてしまうのです。
でも、赤井先生が素敵なお言葉を一言
「先ほどのフランスギクもキショウブもこのオニウシノケグサも彼らには罪は無いんです。
人間の都合で外国から連れられて特定外来生物に指定されて厄介者扱いされる。
一番悪いのは人間なんですよ。」
確かに、この植物たちの気持ちになるとそうですね。

【私のお気に入り♥】

ミズタビラコ (在来種)
ムラサキ科の仲間。
この植物、もぉ 一言、すごくかわいい!
つぼみの時は赤色なんですが、咲く花は紫色なんです!
ひとつの花にいろんな色が散りばめられていて不思議できれいなんですよ。
それだけじゃないんです!
花の奥をよ~く見ると…四葉のような模様になっているんです。
なんだか、たくさんの色と四葉でお得感のある花じゃないですか?
田んぼや畑の中には生えていないとのこと。水辺のそば(名前の通り)にいます。
ぜひ、見つけてください!

【子孫の為には一生懸命!】

カラスビシャク (在来種)
コナスビと同様に、まめに草を刈る畦畔に良く生えています。
種子だけでなくて、ムカゴでも殖えます。

【そして、だんだんと森の中へ…】
「ここ来るの初めてやわぁ~」なんて声も。

音といったら、鳥と風の音くらいで空間の違いを感じます。
ジブリアニメを連想してしまいました。
みんなで自然の空間に癒されたひと時でした☆

そして森を離れ、ぞろぞろ、てくてく…

最初の場所に戻り、今回の調査は終了しました。
植物をじっくりと観察するなんて、小学校の理科の授業以来かもしれません。
久しぶりでしたが、自分の足で歩いて手にとって実感するってやっぱりいい事ですね。
参加された方も熱心に赤井先生に質問されていました。
「その植物って食べれるの?」など地元ならではの質問が飛び交ったり和気あいあいでした。
1時間半ほどの間でしたが、池田町には貴重な植物がまだまだいっぱい
生きている事がわかりました。
改めて、池田町の自然の豊かさ、すごさを感じました。

【池田町の団結力!】
最後に、池田町の畦畔管理の状況を少しお知らせ。
現在、3種の在来種による畦畔管理を
「グランドカバー」として実証試験中です。

ノチドメ

ノシバ

コウヤワラビ
今年は去年の4倍の2000枚にノシバのマットを増やすそうです。
農家のみなさんから「うぇ~、大変なんだよなぁ~」と疲労めいた声も。
2000枚なので、みなさんのお力が必要なんです。
朝も夜も手間がかかる作業ですが、街全体が協力して取り組むってすごいなぁと思いました。
池田町の活動をもっと多くの人達に知ってほしいな~と思った一日でした。

初取材!初池田町!

みなさん初めまして!今回から 「池田娘 智のちょかちょか取材」に代わりまして、「新米 ゆっこの池田収穫記」をスタートさせていただくことになりました!
福井市在住の私、ゆっこが一年間、会の活動をお知らせしていきます!
その名の通り池田の全てが初 体 験!!
みなさんに上手に伝えることができるか不安度70%です。
ですが!今後の取材を通して池田町ファンを拡大していけるようにがんばっていきます。
よろしくおねがいします!

さっそく、初取材日の4月27日
 
池田町能楽の里文化交流会館にて恒例の代表者総会に行ってきました。
予想外の人の多さにびっくり!
さらに会議が始まる前のこの静けさ…。
緊張が高まります!

予定通り7時半から会議スタート~
会議では、去年の活動内容・今後の課題などを中心に、真剣な話し合いがされていました。

…そんな中、一人農業用語の壁にぶち当たりながら資料に目を通し、流れに追いつくことで精一杯な私でした…。
いきなりですが、私やこのHPが初めての方の為にもここでちょっとおさらい。
この『池田の郷水と土を守る』会は、
『 池田町の農村環境の保全と農産物の向上・農村文化の保存継承 』を基本方針としています。
今年も様々な計画が町内各地で予定されていますが、その中でも、事務局では

● 田んぼの生きもの調査
 水田及び畦畔の管理と生きもの (春~初夏編) 期日:6月11日
 ※秋編は10月中旬
●池田在来ノシバの増殖実証
●草刈り時期や回数と雑草管理と改善 (菅生・魚見)
などなど、盛りだくさんの活動が計画されています。

今日、池田町には私が普段の生活の中ではあまりお目にかかれない生きものや植物がたくさん生息していることを知りました。
そしてその生きものや植物が池田町の農業とつながっているんです。

かえるやくもやトンボが田んぼの害虫を食べてくれるから稲が守られているそうです。
雑草はとるのが当たり前と思っていましたが、池田町ではやみくもにとることはしないのです。
なぜなら、池田町の田んぼに生えている100種類の内約10種類の雑草は絶滅危惧種らしいのです。(すごい!)

「地球から消えてしまうかもしれない希少種を池田町の特別栽培が守っている」
「生きもののお世話になり、生きものの力になることが池田町の農業」
というお言葉に、感動しました。

これから、池田町のいきもの、植物、農業、もちろん住んでいらっしゃる方達とふれあって
一年後には、立派な池田通になれるよう頑張っていきます!