池田町の田んぼの畦を考える。

『生命に優しい米づくり』の認定基準に、
『田んぼの畦に除草剤を使わず、草刈りを3回以上行う』
という決まりがあります。
 
草刈りは、
害虫であるカメムシ等を防ぐ策であり、
いのしし避けに設置してある電気柵の
漏電防止でもあります。


 
池田町の畦は、急傾斜で面積もひろく、
夏場の草刈り作業は重労働となり、危険な作業であるので、
作業の軽減が課題となっています。

1回でも草刈りの回数を減らすことができ、
池田の豊かな生態系に調和した水田景観が維持され、
安全で美味しい米づくりに役立つ方法はないか。

そのため、もともと池田町に生育する在来種を用いた
田んぼの畦の緑化(グランドカバー)試験を始めました。

 
●2009年8月3日(月)
植物研究家の赤井先生指導のもと、
実証作業の第1回目を行いました。
【1、育苗シートにて発芽試験】
町内の在来種(コウヤワラビ、ノシバ、ノチドメ)を採取、
茎を細かくちぎり、育苗シートに植え付けました。
これをハウス内にて2ヶ月間育苗します。
 
【2、実際の畦に糊つけしグランドカバー化する】
外来種(姫高麗芝、高麗芝、野芝、TM9)
在来種(ノシバ、コウヤワラビ、ノチドメ)
水と糊を混ぜ合わせ、畦に植えていきました。

(池田中学校の生徒たちも職業体験として手伝ってくれました。)

(炎天下の元、根気な作業でした)

(糊がなかなか貼りつかないハプニングもありました)

 
●2009年10月2日(金)
実証作業の第2回目を行いました。
【1、育苗シートにて発芽試験】
結果:根がはりやすいようにと、水耕栽培に用いる、『ロックウール』と『バーク堆肥』を
それぞれ下にひき、3日に1回 水やりをしてきました。
ノチドメは、途中良好な時もありましたが、
結果的に、根が下まではっていない苗ができてしまいました。
一方、コウヤワラビやノシバは活き活きしており、
栽培方法の向き不向きがうかがえました。

【2、実際の畦に糊つけしグランドカバー化する】
結果:外来種の高麗芝などはどれも順調に成長していました。
一方、在来種のノチドメは少し元気がありません。
しかし、在来種のコウヤワラビやノシバは元気よく育っていました。

こちらも、土地柄によって向き不向きがあり、
それぞれの土地条件にあった植物を選ぶことも
グランドカバーの課題になりそうです。

【3、ハウス内で育苗した在来種でグランドカバー化する】
1、のシートを、割り箸ですべり落ちないようにしながら、
畦にはりつけていきました。

シートが砕けるなどのハプニングもありましたが、
全シート80枚をはりつけました。

今後は越冬し、成長を春まで見守ります。
 
 
外来種(ヒメイワダレソウやシバザクラ)をつかったグランドカバーは
町外の例にありますが、
在来の植物を脅かす危険性があると考えられます。
 
池田町の豊かな自然環境を守る為にも
在来種を使ったグランドカバーは当然の試みなのです。

このグランドカバーの試験には様々な意見があります。
経費がかかりすぎる。手間がかかりすぎる。等
しかし、
池田町の田んぼの畦の在り方を考えていかなければいけない事は
紛れもない事実です。
 
つまりこの試験は、池田町の田んぼの畦をどうするか考える突破口として、
専門家やおじいちゃんおばあちゃんの知恵をかりながら
反省と研究を繰り返しつつ、
3年後には一つの答えを見つけたいと考えています。