田んぼの生きもの調査 ~秋編~
2009年10月17日(日)AM10:00~正午 IN池田町東俣地区
池田町の集落で唯一『集落での(水の中の)生きもの調査』も行っている
池田町東俣地区で
田んぼの生きもの調査 ~秋編~を行いました。
東俣地区で外来種、在来種がどのように生活しているか
「今日は優しい気持になって草を見てほしい」
と、お馴染みの赤井先生(植物専門家)。
本年度 最後となる 田んぼの生きもの調査
稲刈りも終わり、サッパリした田んぼで
一体どんな生きものに出逢えるのか楽しみです。
1.フキ(キク科フキ属の多年草)
早春を告げるふきのとうは ふきの頭花。
葉は、あく抜きしておひたしや和物、煮物、つくだ煮に、
ふきのとうはてんぷらや汁の実などにして食べることができます。
↑2.ミゾソバ(タデ科イヌタデ属の1年草)
昔、渋柿をあわせるのに使った草で
ソバと同じタデ科の植物です
川辺や溝、路傍など水気の多い湿地にたくさん生えます
3.イヌタデ(タデ科イヌタデ属の1年草)
草の名前で、「イヌ」がついていると
「役にたたない」という意味が含まれているそうです
最近、田んぼに増えて、ひっかかって困ると
農家の皆さんがおっしゃっていました
4.イボクサ(ツユクサ科イボクサ属の1年草)
この草の汁をつけると いぼがとれる!? との迷信から
つけられた名前だそうです
5.スイバ(タデ科ギシギシ属の多年草)
食べるとすっぱいスイバ自身も
酸性の土地を好むため、酸性土壌の指標植物となっています。
↑6.ヨモギ(キク科ヨモギ属の多年草)
生の葉を虫刺されや傷の血止めなどに使っていたほか
腹痛の時に服用したりもするそうです
若葉を草もちや草団子に入れたりと
食べたことがある方も多いと思います
7.ゲンノショウコ(フウロソウ科フウロソウ属の多年草)
昔から薬として価値が高く
民間薬や生薬として 茎や葉を煎じて飲むと
下痢、腹痛、便秘などに効くとされてきました
福井市のショッピングセンター ベルの『こっぽい屋』では
お茶としても販売しています
↑8.ヒメオドリコソウ(シソ科オドリコソウ属の越年草)
ヨーロッパ原産の外来植物です
あまり知られていませんが、天ぷらにすると美味しい草です
↑9.シバ(ノシバ)(イネ科シバ属の多年草)
背が低く、一面を覆う様に生えるので
池田町では自生のシバを使った
グランドカバー実験に使用しています
↑10.コナギ(ミズアオイ科ミズアオイ属の1年草)
春の生きもの調査から、何かと話題にあがる「コナギ」は、
特別栽培の田んぼには、必ずといってよいほど生えている草です
タネができる前に抜かないと、
土の中のタネが増え続け、稲の成長を抑えてしまいます
国の研究機関がコナギ駆除の研究を始めたそうなので
期待したいものです
↑11.ヤナギタデ(池田町ではナンバグサ)(タデ科イヌタデ属)
お刺身などについているベニタデ、メタデと同じ仲間です
食べると 忘れた頃にピリっときます
12.チョウジダテ(アカバナ科チョウジタデ属の1年草)
見た目は、ナンバグサと非常によく似ています
水田の代表的な広葉雑草ですが、除草剤の普及により やや少なくなりました
農薬を抑えた池田町の水田には今も普通に生えています
↑13.オモダカ(オモダカ科オモダカ属の多年草)
9月頃、地下にクワイに似た芽(塊茎)をつけます
根が地下深くに伸びるため なかなか抜けません
オモダカは、タネができる前の、
地下にクワイができる前の若いうちに
抜くことが防除のポイントだそうです
↑14.ノチドメ(セリ科チドメグサ属の多年草)
傷ついたときに この葉を傷口にはると止血の作用があるとして
池田町でも昔から用いられてきたそうです
池田町ではノチドメも
ノシバと同じく畦を覆うように生育する為
グランドカバーの実験に使用しています。
↑15.ミゾシダ(ヒメシダ科ミゾシダ属の夏緑シダ)
スギ植林の林床や渓流沿いなどの湿った場所に多いシダですが
池田町では山際の畦畔にも見られます
池田町の畦畔では、ミゾシダの他にヤワラシダやコウヤワラビも多く
これらはグランドカバー実験に利用しています
↑16.チカラシバ(イネ科チカラシバ属の多年草)
踏み付けや刈り取りに強く
力を入れないと抜けないので、この名前がついたそうです
池田町では昔、この草でゾウリを編んだそうで、
ワラより丈夫で、青い綺麗なゾウリができたそうです
↑17.アメリカセンダングサ(キク科センダングサ属の1年草)
「これどもならんのや~(訳:この草はとても厄介だ)」
農家の方たちの口から思わずもれてしまう巨大な草です
タネについているトゲが、動物などに付着し散布されます
タネは軽く水に流されて田んぼに入り込むので
タネをつける前に抜かないと、大変なことになります
稲より背が伸びて花をつけだした頃に、タネを落とす前に抜いてください
アメリカセンダングサやクサネムは、数が少ないときは
ある程度、大きくなってから抜く方が腰をかがませる必要がないので楽です
↑18.エノコロ(イネ科エノコロ属の1年草)
「イヌが喜んで食べるんや~」
よく、『ねこじゃらし』とも言うエノコログサの仲間にはたくさんの種類があります
今日見つけたのは3種類、
左:アキノエノコログサ 中央:キンエノコロ 右:コツブキンエノコロ
↑19.ヒナタイノコヅチ(ヒユ科イノコヅチ属の多年草)
種子が人間に飛びつくから、池田町では『トビツカミ』と言われています。
人間からすると、服について邪魔もの扱いですが、
この草は、動物の毛について遠くに運んでもらえるように
仲間を増やそうと、こういう形に進化したわけで
「小さな草も生きることに一生懸命なのです」と
先生が話してくださいました。
↑21.ススキ(イネ科ススキ属の多年草)
& 22.オギ(イネ科ススキ属の多年草)
よく似ていますが、ちょっと違います。
右:ススキ 左:オギ
ススキの茎と葉は茅葺(かやぶき)屋根の材料とされ
古くから茅(かや)とも呼ばれています。
オギはススキよりも普通、背が高くなります
↑23.ヤワラシダ(ヒメシダ科ヒメシダ属)
池田町の畦畔には、普通に生えるシダ植物です
背も高くならない為、たくさん増えても
草刈にはそれほど影響しないので
このシダを使ったグランドカバー実験を進めていくそうです
↑24.オニウシノケグサ(イネ科ウシノケグサ属の多年草)
牧草や道路ののり面緑化に使用する為に
人間が外国からもってきた草です
川や路傍などに逃げだし、東俣の川辺も一面生えていました
↑25.アゼトウガラシ(ゴマノハグサ科アゼトウガラシ属の1年草)
田んぼの中のべっぴんさんです
農薬と乾燥に弱い草で、都市周辺や土地改良が終わった大きな田んぼでは
もう見る事が出来ない草だそうです
これ以上大きくならず、田んぼづくりにほとんど影響しない
「害草」でも「益草」でもない『ただの草』です
↑26.ヒナガヤツリ(カヤツリグサ科カタツリグサ属の一年草)
『ヒナ』とは『可愛い』の意味らしく、
田んぼには、中干しが終わった頃にでてくる植物です
池田町のほぼすべての田んぼに生えているとのことでした
↑27.トキンソウ(キク科トキンソウ属の1年草)
キクの仲間で、北海道から沖縄まで日本国中の田んぼに生えているそうです
祖先はオーストラリアからきたとか
最近、赤井先生はトキンソウの仲間で新種の植物を見つけたそうです
このトキンソウに限らず、田んぼに生える草たちは、稲と一緒についてきたらしく
全国の田んぼを見てまわっている赤井先生は、
「全国どこの田んぼに行っても似たような草が生えています」
とおっしゃっていました
↑28.ウワバミソウ(池田町ではミズブキ)(イラクサ科ミズ属の多年草)
春には山菜として重宝される植物です
秋には写真のようなムカゴをつけます
ムカゴは ねばりがあり、自然薯のような味がしました
畦を歩いていると、
左右で植物の成長が全然違う道路がありました!
東俣の農家の方にお伺いしたところ、
草刈りの回数は同じですが、時期が左右で違うそうです
いつごろ草刈りをするといいのか、などについても
今度、科学のメスを入れていき
草刈の負担を少しでも減らせる仕組みをつくっていきたい。と
赤井先生は話していました。
植物たちとの付き合い方次第で
田んぼづくりが いくらでも楽しくなると感じました!